Our Story

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進化

私たちは人々の暮らしの中に時代の変遷と技術革新を見てきました。言い換えるなら、これはものとしての製品がどのような環境でいかに体験されているかという地に足の着いた生活者としての視点と洞察力です。
例えば、家電分野において、テレビはブラウン管から液晶へと変わり、より大きく、軽く、薄く、そして安価になっていきました。しかし、テレビを見る生活環境は顕著に変化していないことに私たちは気づいていました。2000年代に入ってテレビは大型化しましたが、同時に一般住宅が大きくなったわけではありません。大型テレビには大型のテレビ台が必要であり、それはつまり、生活空間が狭くなることを意味しました。テレビスタンドは業務用が既に存在していましたが、分厚く、重たい設計を見た私たちはこれを一般家庭用に改良することを思いつきます。
また、この頃に訪れた世界最大級の国際家具見本市、ミラノサローネで見た壁掛けテレビにも着想を得ました。テレビを絵画のように壁にかけるアイデアは素晴らしいものでしたが、それを日本でそのまま実現するのは非現実的です。壁に大きな穴を開ける工事自体が大掛かりであり、それが賃貸物件であれば尚更のこと。そこで、壁掛けのアイデアを国内市場向けに落とし込んで、機能的で美しいテレビスタンドを目指します。これはテレビスタンドという概念自体がまだ日本社会に浸透していない時のことでした。

2015年に発売したオリジナルのテレビスタンドは自社ブランドEquals(イコールズ)の立ち上げにつながっただけでなく業界のベンチマークにもなりました。世界三大デザイン賞の一つであるレッドドットデザイン賞などを受賞し、国際的に高い評価を得ています。Gマークでお馴染みのグッドデザイン賞ではそれまで存在していなかったテレビスタンドというカテゴリーでの受賞を果たしました。これは、単にものではなく、テレビを視聴する体験と環境をデザインした私たちの画期的な着眼点が評価されたことだと自負しています。
しかし、この開発は私たちが製品の川上から川下までを俯瞰して取り組んだからだけではなく、協業によってなせる業でした。ファブレスメーカーの私たちの社内には企画開発チームがあります。グラフィックや工業デザインだけでなく工場やメーカーをバックグラウンドに持つメンバーで構成されていますが、私たちが一緒に仕事をする工場にも設計のプロがいます。さらに世の中には優れたデザイナーが数多くいるのも確かです。では、私たちの役割とは何なのか。それは、工場でものづくりをする人々を客観的に見ることです。これが作れるならこれも作れるはずだと思えば、きく。少しだけ視点を変えて、既存の技術の応用を試みる。最初は乗り気ではないかもしれない職人たちを諦めずに説得する。このようなスキルは人間力と呼べるかもしれません。
そして、その先にあるのはイノベーションです。イノベーションはデザインチーム内で起きるとは限らないのです。オフィスでパソコンを使って設計するだけではなく、工場に足を運んで、現場を見て、作り手と直接会って話す。何度も通って信頼関係を築く。ウォールテレビスタンドの開発では幾度となく工場に足を運び、美しさ、機能性、安全性のどれにも妥協を許さない試行錯誤を繰り返しました。密な対話型コミュニケーションに基づく関係からもイノベーションが生まれるのです。そこに導くことが私たちの使命であり、私たちは工場そして作り手と一緒に成長したいと考えています。なぜなら、作り手はよりいいものを作りたいということを私たちは経験から身を持って学んできたからです。
